高三に入って最初の実力テストで、学年で一位になった。壁に貼られているリストを観察してみると、いつもと顔ぶれが違う。それまで一位の座を譲らなかった生徒の名前は10位以内にもなかった。受験生達は学校の授業よりも、受験勉強に専念していたのだ。 「しまった、出遅れた」という思いが頭を横切った。大学は行くつもりでいたけど、どこの大学で何を学べばいいのか検討もつかなかったし、このまま学校の授業を受けてるだけでは取り残されてしまうという焦りも強く感じはじめた。そして集中力を失い、授業中に居眠りをする事が多くなった。 そんなある日、クラスのみんなの前で「君は何故授業中に寝てるんだ」と先生に注意された。「授業がつまらないから」と言い返すと、先生は驚いたようにたじろんで、それからは居眠りをする僕を放っておくようになった。学校に抱いてた不信感がますます強くなり、欠席も多くなった。
その頃、ビートルズをはじめ洋楽が好きだった僕は、英語は得意で、西洋文化に憧れていた。アメリカでは受験戦争などなく、誰でも大学に入れるというような事も耳にしていた。ある雑誌で、東京にある留学生のための予備校の広告をみた時に閃いた。受験地獄なんてごめんだ、アメリカで住もうと。
そして今の自分がいる。今振り返ると、高3の時にあれだけ苛立つ必要ななかったなと思う。出遅れた受験勉強も一年か二年の浪人生活で取り返せただろう。受験というものが実際に地獄なのかどうかも疑問だ。ただ当時の日本の文化は、受験生に必要以上のストレスを与えていたような気がする・・・
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